不条理な世界で孤独と絶望を描いた作家 フランツ・カフカ 2/2

作家

今回の記事では、フランツ・カフカの作品の中からおすすめの作品をピックアップし、レビューしていきます。

最高評価は☆×5つ。★は0.5点分です。
なお、「判決」「変身」「断食芸人」「城」の4作品に関しては前回の記事で取り上げているので、星評価のみ記載します。

走り過ぎる者たち

夜道を走り抜ける二人の男に対して浮かぶ妄想と恐怖。
読者を瞬く間に妄想の世界に引きずり込み、最後の何気ない一文で共感を生み出す。1907年、若きカフカが描く緊張と緩和のお手本です。

評価☆☆☆☆

判決

評価☆☆☆★

変身

評価☆☆☆☆☆

審判

罪はなくても、罰はやって来る。そしてその罰が罪悪感を作り出す。
1914年に書かれ、唯一明確な結末を持ったカフカの長編。
抜け出せない迷宮、成立しないコミュニケーション、抗えない運命。それらカフカ作品に共通するモチーフが溢れています。
いくら追いかけても手に入らない「城」に対し、いくら逃れようにも付きまとわれる「審判」はコインの裏表のような関係です。

評価☆☆☆★

掟の門

「審判」に登場する挿話であり、カフカの生前に独立した短編として発表されたそうです。自らが自らを縛り付けるルールを作り出し、それが為に身動きが取れなくなり、哀れに死んでいく男。後の「断食芸人」では、自覚的に誇りをもって取り入れるマイルールを、この時はまだ俯瞰して見ることができていなかったのかもしれません。だからこその混沌とした、迷宮的な雰囲気が漂っています。

評価☆☆☆☆

田舎医者

雪深い日の訪問診療と手ごめにされる女中。
自分の心がすべきと望むことと、周囲が自分に強いることは食い違っており、そのギャップに苦しみながらも、流れに飲み込まれていく医者を幻想的かつエロティックに描いた1917年の短編。

評価☆☆☆

皇帝の使者

届かない想い、成立しないコミュニケーション、ままならない世界、迷宮的なイメージ。
短いページの中にカフカ的な要素が凝縮された、1917年の傑作短編。
永遠にたどり着くことのない使者、遺言が届くことのない皇帝、そんなこととはつゆ知らず、窓辺で到来を待ち続けるきみ。迷宮に迷い込んだのが珍しく第三者である分、悪夢的な雰囲気は薄いが、反面、どうにもならない虚しさと歯がゆさは一層増しています。

評価☆☆☆☆★

家父の気がかり

謎の生き物”オドラデク”。作中の大半でこのオドラデクの説明に終始するのだが、結局何者なのかはよくわからない。これはおそらくマクガフィンのようなもので、読者を煙に巻くためのものでしょう。重要なのは結末です。死ぬものはみな、生きている間にその目的を見つけ、だからこそあくせくし、命をすり減らす。しかしこのオドラデクは違うから、心配だと言うのです。この人生観にはカフカらしさが表れており、心配は自分自身に向けられているような気がします。

評価☆☆☆☆

谷にかかる橋を語り手としたユニークな短編。自らの役目、仕事を宿命めいたものと捉える視点にはカフカらしさが見てとれます。一瞬役目を忘れたことですべて崩壊するオチはユーモアがありながらも、示唆的です。

評価☆☆☆

町の紋章

有名なバベルの塔をモチーフにして書かれた1920年の作品。天まで届かんばかりの塔を建てようとした人間の驕りを戒める話として知られていますが、カフカの手にかかれば、その建設作業は一向に進みません。技術が進歩しているであろう後の世代に任せてしまうのです。そして時が経つにつれ、その塔の無意味さが知れ渡ってしまう皮肉。後の世代に丸投げする人間の狡さは現代の環境問題から、身近な人間関係にも通じる普遍性を感じさせます。それをこの短いページ数で描いていることは驚きですが、結末はやや切れ味にかける印象。

評価☆☆☆★

最初の悩み

サーカス一座のブランコ芸人が抱いた初めての悩み。それはささやかでかわいらしいものですが、一度「悩みごと」に気が付いたが最後、こうした悩みは次々と持ち上がり、額にしわを刻んでいくのです。

評価☆☆☆★

小さな寓話

タイトル通りの寓話らしさを持った小品。制限がないことの自由と恐怖、制限があることの安心と窮屈さ。そして方向転換の難しさを端的に描写しています。

評価☆☆☆

断食芸人

評価☆☆☆★

評価☆☆☆☆

さいごに

いかがでしたか?
2回に渡って、チェコの作家 フランツ・カフカを紹介しました。
カフカの小説は、1~2ページの短編もたくさんあります。ぜひ気軽に手に取ってみてください。

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