映画公開年別マイベスト 1959年

映画年別マイベスト

今回の記事では、公開年別のマイベスト映画作品をご紹介します。
評点は5.0~1.0まで、0.5点きざみの9段階評価で、平均以上となる3.0以上の作品をランクインさせています。

今回取り上げたのは195年で、4本の作品が3.0点以上でした。

4位 北北西に進路を取れ 3.5

アクション、スリル、ミステリー、ロマンスとあらゆる要素を胃もたれしそうなほど詰め込んだヒッチコックの集大成的な作品。
飽きることなく観られますが、人違いで巻き込まれるパターンには新鮮味がありません。
また、有名な飛行機の襲撃シーンは迫力がありますが、さすがに非効率的すぎて笑えてしまいます。
ストーリーを真剣に追うよりも、こうした1つ1つのシチュエーションを単純に楽しむのが良いです。

3位 お熱いのがお好き 4.0

娯楽作品が消費されて忘れ去られるものとは限らないことを証明するような、職人監督の巨匠ビリー・ワイルダーによる傑作コメディ。
女装して楽団に潜り込んだシチュエーションによる普遍的な笑い、主演2人のかけ合いによるテンポの良い笑い、マフィアとの追いかけっこでのスラップスティック的な言葉不要の笑い、有名なラストのセリフ回しによるニヤリとさせる笑い。あらゆる種類の笑いを一本の作品の中で成立させてしまう手腕は神業の域です。
ヒロインの感情や行動原理の描き方がステレオタイプ的ではあるものの、マリリン・モンローのセクシーなだけでない魅力が映し出されている点は間違いなく見どころです。

2位 いとこ同志 4.0

大学進学のためにパリに出てきて従兄の家に同居することになった主人公に降りかかった悲劇を描いた青春映画の古典的名作。
生真面目で純朴な主人公と遊び人だがスマートで要領の良い従兄という対象的な2人が同じ部屋に住むことで歪みが生まれていきます。
2人の価値観や性格の違いを見せる前半はやや冗長ですが、運命のすれ違いが起こって以降は主人公の心をえぐり続けるような容赦のない展開で目が離せなくなりました。
恋愛と失恋、嫉妬とやせ我慢、将来への焦燥感、希望と失望、青春物語としての構成要素は漱石の「こころ」を想起させます。
哀れとしか言いようのない主人公だけでなく、合格祝いでどこか浮かない表情だった従兄も、期せずしてこの悲劇の仕上げをしてしまいます。
年長者の教えを守って真面目に生きようと、目の前の快楽に身を任せて自由奔放に生きようと、満たされることのない若者の心と閉塞感を通して、世の中の不条理さを痛感させられます。

1位 大人は判ってくれない 4.5

青春映画という言葉でくくるにはあまりにも鮮烈なトリュフォー初の長編作品。
ゴダールの「勝手にしやがれ」と並んでヌーヴェルヴァーグの着火点的な作品ですが、革新的な技法が多用されたあちらと違い、本作はテクニカルにはさほど目新しいところはありません。その分、より普遍的な作品ではある気がします。
子どもらしい無邪気さを持ちながら、ただ無邪気なだけの年ではもうない。自分の思春期とまだ折り合いがついておらず、世の中を、そして周りの大人をインチキだと感じる、サリンジャーの小説に通じるような世界観が瑞々しく繊細に描かれます。
大人になることから逃げるように、母性を象徴する海をひたすら目指し、何かを訴えるような眼差しをこちらに向けるラストカットが印象的です。


いかがでしたでしょうか。
1959年はヌーヴェルヴァーグの着火点として映画の歴史上重要な分岐点となった年でした。
次回の記事では、1951年を取り上げます。

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