映画公開年別マイベスト 1981年

映画年別マイベスト

今回の記事では、公開年別のマイベスト映画作品をご紹介します。
評点は5.0~1.0まで、0.5点きざみの9段階評価で、平均以上となる3.0以上の作品をランクインさせています。

今回取り上げたのは1981年で、6本の作品が3.0点以上でした。

6位 マッドマックス2 3.0

荒廃した近未来のディストピア像として、SF映画のみならずあらゆるサブカルチャーに絶大な影響力を持つシリーズ2作目。
ストーリーの構成も、キャラクターの描写も、アクションの派手さも、すべてにおいて前作よりも娯楽映画としてのクオリティが上がっているのは間違いない一方で、粗削りなことで生まれていた絶妙な違和感による恐怖は薄れていました。
崩壊しきった世界のファンタジーなカオスよりも、崩壊間際の秩序と混乱が入り交じったカオスの方が現実世界との接点がある分、よりリアルに感じられたのかもしれません。

5位 ポゼッション 3.0

イザベル・アジャーニがカンヌで女優賞を得たアンジェイ・ズラウスキーによる怪作スリラー。
長い単身赴任から夫が帰るも妻は冷たく、その心は離れており、引き戻したい夫と抜け出したい妻の確執が異形の怪物を生み惨劇を呼ぶ物語です。
説明の少ない難解な作品ですが、女性教師が妻と瓜二つなのはテーマを読み解く大きなヒントだった気がします。
夫は妻自身と言うより、息子の面倒を見て片付いた家で夫の帰りを待つ絵に描いたような貞淑な妻の役割を果たす相手を求め、その勝手な理想像をすげ替えており、そんな夫にとり離れていく妻は怪物と交わるほど性に溺れた狂人にしか見えないことを示したように感じました。
アジャーニの怪演はもちろん素晴らしいのですが、有名な地下道での発狂演技自体よりも、教師役で見せる母性溢れる落ち着きとの振り幅が何より圧巻でした。

4位 ミッドナイトクロス 3.0

録音技師の主人公が偶然政治家が起こした交通事故とその直前の銃声を録音してしまったことから、その裏に潜む陰謀に巻き込まれていく姿を描いたデ・パルマ初期の秀作サスペンス。
タイトルと設定をアントニオーニの名作「欲望」からインスパイアされていることで有名ですが、哲学的な問いかけへと向かうのではなく、あくまで娯楽映画として貫徹しているのが良かったです。
POVに長回しに真上から打ち下ろすカットと頻出する独特なカメラワークに加え、デ・パルマの出世作「キャリー」では脇役だったトラボルタとナンシー・アレンのコンビの再起用もニヤリとさせられました。
ストーリーはこじんまりとして地味なのですが、地下鉄からサスペンスが加速していくクライマックスのシークエンスは音で繋がっていることがうまく活かされており、意外な結末が皮肉で哀しいオチへと繋がるのも見事でした。

3位 短い労働の日 3.0

既にフィクションへ進出していたキェシロフスキが架空の人物設定をしながらも実際の出来事に基づいて描く心理ドラマ。
共産党の書記を務める男が物価高騰に対する労働者たちのストとデモに直面し、その対処に苦悩と葛藤を巡らせる物語です。
通りの向こうからじわじわと押し寄せた群衆が暴徒化していく様をホラーのように演出し、そこに男の心の声がモノローグで語られることで、党員としての毅然とした態度の裏にある恐れや焦りが面白く描かれています。
結末は少し物足りない気もしますが、ドキュメンタリーで培われた生々しい迫力を画面に焼き付ける術が冴え渡っていました。

2位 ニューヨーク1997 3.5

映画に限らぬ後世への影響力という点で「ハロウィン」と双璧をなすカーペンターの代表作。
犯罪率が高まった近未来で、犯罪者を閉じ込める刑務所となったマンハッタン島へ大統領の乗った飛行機がハイジャックの末に不時着し、自由と引き換えの救出任務を強引に託された主人公スネークの命がけの奮闘を描く物語です。
自由の女神像がそびえ立つ島が丸ごと監獄になっているという設定自体に皮肉が効いており、正義感あふれるヒーローではなくあくまで自身の利益のために行動するマカロニウエスタン的な主人公像も良かったです。
話の運びが中盤でもたついたり、展開に無理があるご愛嬌なところもありながら、画面の中のどこに何を配置してフォーカスを当てるかを見ているだけでも楽しいのはカーペンターの映像作家としての抜群のセンスの賜でした。
カート・ラッセルの脇を固める渋いキャスティング、相変わらず印象的な自作のテーマ曲、そしてクールなエンディングも素晴らしかったです。

1位 死霊のはらわた 3.5

サム・ライミの長編デビュー作にして、若さゆえのパワフルな勢いが感じられるスプラッターホラーの傑作。
ストーリーを物語ることは早々に放棄して、ひたすら恐怖描写、残酷描写を重ねることに徹した潔さが素晴らしかったです。
笑いと恐怖が紙一重であることがよく分かる作品で、やりすぎてその境界を一歩踏み出したかと思うと、またすぐに立ち戻れるバランス感覚が絶妙でした。
映像のチープさは確かに否めないですが、邪悪な存在を示したカメラワークを始め、制作上の工夫が随所に見えて好感が持てました。


いかがでしたでしょうか。
1981年は不作ながらカルト的人気を集める作品がいくつも生まれた年でした。
次回の記事では、1978年を取り上げます。

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