映画公開年別マイベスト 1969年

映画年別マイベスト

今回の記事では、公開年別のマイベスト映画作品をご紹介します。
評点は5.0~1.0まで、0.5点きざみの9段階評価で、平均以上となる3.0以上の作品をランクインさせています。

今回取り上げたのは1969年で、5本の作品が3.0点以上でした。

5位 男はつらいよ 3.0

日本を代表する長寿映画シリーズの記念すべき第1作。
10代で家を飛び出して以降放浪生活を送っていた寅次郎が柴又に帰って来たことから、様々な騒動が起こる様を描く物語です。
べらんめえにさらに輪をかけたようなクセのある寅さん口調が面白く、渥美清なくしては有り得なかったキャラクターであり、本シリーズであることがよく分かる1作目でした。
下町の乱雑さと温かみは人情喜劇をやるにはこの上ないシチュエーションで、4両折り返しの金町線の当時の姿や上野駅の蕎麦屋の雰囲気はその当時を生きていなくても懐かしさを感じられる不思議な喜びがありました。
子供の頃に後の作品を観て理解できなかったとらやに集う人々の関係性がようやく分かったのも嬉しかったです。

4位 明日に向って撃て! 3.0

アメリカン・ニューシネマの時代を代表する異色の西部劇。
無軌道な若者の逃避と敗北を描くことの多いニューシネマの作品群においても、今作のアウトローっぷりは飛び抜けています。時代設定が違うとはいえ、列車強盗に銀行強盗、そして銃殺と明らかな社会の敵です。
それでも彼らに惹かれてしまうのは、明るい未来など待っていないと心のどこかで気がついていても、そのまま前に進むしか道がないその姿が社会と折り合いをつけて生きることを拒絶したように見え、その生き方にどこか憧れを感じるからかもしれません。
途中、ボリビアへの移動の件をスライドで見せる編集が新鮮でした。

3位 真夜中のカーボーイ 4.0

大都会の片隅で負け犬のように生きながら、そこから脱する日を夢見てもがく2人の若者の姿を描いた傑作。
若者の自由と可能性を求めた社会や組織への挑戦と、その無残な敗北を描いたアメリカン・ニューシネマの作品群において、ムーブメントのピークは1969年であるとする考えの根拠には、今作がアカデミーで作品賞を取った事実が少なからずあると思います。
パーティーのシーンこそ時代を感じさせるサイケ感がありますが、2人の妄想と回想と悪夢とトラウマとが挿し込まれる演出はコミカルで分かりやすく、未来を差し込むアヴァンギャルドさを見せた同年の「イージー・ライダー」に比べるとマイルドな仕上がりで、ストーリーも2人の友情の物語として一般受けするキャッチーさがあります。

2位 家での静かな一週間 4.5

覗き込んだ穴から見る無音の世界は、幻想的でインパクト大です。
普段の暮らしを思わせる就寝前のルーティーンをいちいち見せるあたりはとてもコミカルで、この規則的な反復がラストのオチにも効いています。
映像だけでなく、ペンを走らせる音、灯りを消す音、目覚まし時計の音などを巧みに使ってリズムを生み出しており、表現の幅の広がりを感じさせる初期の秀作です。

1位 イージー・ライダー 5.0

アウトローのバイク乗りを描いたロードムービーにして、アメリカン・ニューシネマの代表作。
クオリティは決して高くなく、娯楽作品としてのストーリーのおもしろさもありません。
しかし、その不恰好さがあるからこそ、人間社会においては何にも縛られず自由気ままに生きるという単純なことがこんなにも難しいのだと訴えるこの映画のメッセージは鮮烈な印象を残します。
額縁に入った絵画の解説を読むよりも、スクラップブックに走り書きされた言葉の方が胸を打つような感覚です。
楽曲自体を前面に出す音楽の使い方、先のシーンをフラッシュさせる斬新な編集、容赦のないストーリーラインと結末、それらはすべて旧来のハリウッド式映画を壊すのに十分なインパクトを持っており、真の意味でのニューシネマという気がします。


いかがでしたでしょうか。
1969年はアメリカンニューシネマ全盛の時代を象徴する名作が生まれた年でした。
次回の記事では、1958年を取り上げます。

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